6年制薬学部の評価を国試合格率で見るならば東大が最高で第一薬科大が最低

今回の合格率を受けて

・大学は薬剤師国家試験の予備校になりうる
・本来あるべき薬学教育がなされない事が危惧される
・留年&卒留で多数の学生を卒業させない事は大きな問題である
結果多くの乱立した薬学部は淘汰されるべきである

などと多くのネガティブな意見を目にします。

個人的に少し前までは
薬学部は国家試験にとらわれない教育を行う必要があると考えていました。

例えば人気のない地方の私立大学などは
独自のセールスポイント
(例えば大学在学中に専門薬剤師に繋がるような一歩踏み込んだ教育を独自に行なったりドラッグストアや企業への実習を積極的に行なったりなど)を武器にして
将来医療の現場で活躍出来る医療人を育て差別化を図るべきと考えたり
研究分野に進みたいと考え方を変える6年制薬学生もいるため
然るべき研究知識などをしっかり学ぶ必要があると考えていました。


しかし今回の薬剤師国家試験の合格率を見て
改めてもう一度薬学教育について考え直してみました。



そもそもの話し
国家試験合格を必要とする大学において
大学教育の評価が難しい面があります。

例えば定期テストの結果も常に上位。
実験レポートや卒論も非常に優秀。
しかし国家試験不合格という人より

全てギリギリでパスしてきて
国試もギリギリでストレート合格な人がいたとしたら
当然ですが不合格であった人は薬剤師として働くことはできず
おそらく共通のゴールが国家試験合格であるため
総合的な知識は前者の方が格段にあったとしても
国家試験という与えられた試験にパスしないことには無意味になってしまいます。
その時点で後者の学生を多く抱えている大学の方が一般的に評価されるでしょう。

しかし果たしてそれが正しい薬学教育と言えるのでしょうか。



今回の難化によって
多くの私立大学はより多くの時間を国家試験に対策に当ててきます。

極論を言ってしまえば
最近よく「大学は就職予備校」と目にしますが
薬学部は薬剤師国家試験予備校になってしまうわけです。

きっとその形は否定する人も多々いると思いますし
個人的にも考えるところがあります。

そこで必然的に頭に浮かんでくるのがやはり
正しい薬学教育とは何なのか?
その教育を受けて育った後にある立派な薬剤師とは何なのか?

という事です。

専門的な知識を持つこと
高いコミュニケーションスキルを学ぶこと
医療人として高い意識とモラルを持つこと

大学のパンフレットには当然のように記されていますが
それを学び、薬剤師として必要なものを吸収して
立派な人間になればそれが正しいのか?
そしてそれをどう評価するのか?

答えが壮大・漠然としすぎて全く結論にたどり着けません。


そもそも立派な医療人を育てるには6年では全く足りず
ある程度の判別の尺度として国家試験というものがあると思います。
そして今はそれが正しいか否かは別として評価の対象にされています。

ただ個人的にも形ないものを理想として掲げるよりも
テストの点数で知識の定着を量る事は決して悪くないと思います。


しかし大学が多くの講義や実験、実習をないがしろにし
国試対策にその分を割くのは反対です。
ゴールが国家試験であってもいいと思いますが
大学は国家試験合格のためだけにあるべきではないと思います。

薬剤師・医師免許を持っている方で「薬学部自体必要ない」という意見を言う人もいますが全くもって論外です。


そもそも
薬学生にとって
国家試験に合格するという明確なゴールが設定されていると同時に
大学とは学びに行く所です。

国家試験のみを前提にするならば
国試に出ない物を全て削ぎ落として予備校ありきのものであるならば
薬学部が6年も必要ないと言われるのもわかります。

しかし国試対策として大学の授業が予備校の授業に劣るのは必然であり
広く深い大学の授業は国家試験に直結しない面も多々あると思いますが
それでもいいと思います。
学ぶ姿勢は人それぞれでいいんです。
講義で得られるものもそれぞれでいい。
大学は義務教育ではありません。
国試の勉強だけできればいいという人がいるならば
自主的に国試の勉強をすればいいんです。

講義内容が10あったとして国試に必要な内容が5だとしても
残りの国試に不要な5の受け取り方は自由でいいじゃないですか。

大学側が無駄に国家試験至上主義になる必要はありません。
正しい薬学教育が何か分からない上で国家試験合格率に振り回されるのは止めましょう。
そもそも今年合格率13%の第一薬科大学でも
定員割れせずにいられるという現状を見れば
合格率というのも重要視されにくくなっているのではないでしょうか。



故にこれまで通りの広く深いぜい肉のたっぷりついた教育をして欲しいです。
むしろせっかく6年制になったことですし
冒頭で挙げたように他の大学と差別化を図るような
ある意味国試には関係なくてもいいような将来に繋がる教育をして欲しい。
そこで身に付けた知識が現場で実を結ぶ事もあるでしょう。
自分の進むべき指標にもなることもあるでしょう。
テストでは評価出来ない人間力やコミュニケーション能力など漠然としたものも
学生生活で漠然としたまま伸ばせばいいし
何がきっかけに方向性が変わるかなんてわかりません。
身も蓋もないことを言ってしまえば大学なんてものはそういう場所でもあると思います。

全て削ぎ落とした国家試験に受かるためだけのスマートな授業は
予備校に頼めばいいんです。
それでも不安な人は個人で自発的に薬剤師国家試験予備校を利用すればいい。
おそらく今後そういった流れに自然になってくると思います。




従来の薬学部では
テストの前に必死になって睡眠時間を削って勉強し
何となく周りの人と実験してる気になってレポート書き
実務実習で多少の自覚を持たされ
目の前に迫るテストやレポートをこなし
バイトに飲み会にサークルに大学生活を謳歌し
それなりに満足のいく学生生活を終える。
そして国試に合格して薬剤師になる。
マジョリティだったこの形が
今回の難化により
これまでなんとか合格に偏っていた層が
軒並み不合格に偏った事で
大学がはっきり2分化しました。
国試をストレートで受験出来る人数は更に減るでしょう。

しかし大学側は入学生を確保する事
合格率をあげる事に関しては気を配りますが
留年&卒留&退学なんて事は問題ではありません。
まあそれが顕著になると問題ですが
あくまでも大学側は体裁が取り繕えればいいはずです。
「全ての原因は学生が勉強しないから」で全て片付きます。

個人的にはそれが悪いことだとは思いません。

司法試験で合格率が低くても法学部のせいにされません。
(される場合もあるかもしれませんが)
しかしなぜ薬学部は薬剤師国家試験の合格率が低いから大学の評価が下がるのでしょう。
それは
大学の評価=国家試験合格に結びつく教育がなされている
と考えられているからでしょうか。

それならばまずこの概念を取り払う事から始めないといけません。




今回の99回薬剤師国家試験は確かに難化しましたが
果たして今回の受験者のうち何割が1年生の時から意識を高く持ち
勉強していたのでしょうか。
「6年間しっかり勉強したのに不合格でした。納得できません」
と何人が胸をはって言えるでしょうか。

国試までの半年間と定期テスト直前の勉強だけで
「自分の6年間の学生生活がすべて勉強」に塗り替えられていませんか?
逆に冒頭で例を挙げた
「定期テストも成績が良くレポートなども優秀だけども国試に落ちる学生」も
もちろんいますが実際はかなり少数だと思います。
日頃しっかり勉強してきた学生は6年間で薬剤師になれているのがほとんどのはずです。


正直これまで通りの合格率で薬剤師がどんどん増えていく現状であれば
質の低い薬学生が増え薬剤師としても質の低下が懸念されましたが
今回の国家試験の結果でしっかり意図が読み取れました。
薬剤師は安易に増やしませんよ・・と。

ただ一番の問題はその意図を
これから薬剤師を目指している保護者の方が気付いていない点です。

今回の難化の一番の被害者は
薬学部=薬剤師と安易に考えていた保護者だと思います。

まさか6年間も高い学費を払い
それでも合格できるのが5割となっても
自分の子は大丈夫だろうと
残りの5割に勝手に思い込んでしまうでしょう。

しかし現実は大きく変わりつつあります。
法学部に行ったからといって弁護士になれたと思う人はいないでしょう。
日本の大学は「入るのは難しくて出るのは簡単」と考えられてきました。
ただ現状薬学部はそれが是正されアメリカ方式になりつつあり
その変化に上手く対応できてない現実があります。

保護者の方は薬剤師になりたい子供としっかり話し合い
それでも6年間1200万円を払う覚悟があるならば
最低限の脅迫を行い
薬学部に進む後押しをしてあげてください。



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