病院薬剤師の評価が上がっても院内回帰は厳しいと思う理由





第10回の制度部会の薬局に関する議論を簡単にまとめると



○薬の服用期間を通じての患者指導は確実に法律にも組み込むつもり

○しかし薬剤師にとってこの当たり前の行為に報酬を付けることは許さない

○今回の制度部会の議論は調剤報酬に影響する

○簡単に言えば薬局は仕事してないので次の調剤報酬は削ることになる




という議論です。

⇒平成30年度第10回 厚生科学審議会医薬品医療機器制度部会 議事録




一番最後は個人的な意見ですがまあ妥当だと思います。

今回の議論は前回と比べて特に変わったことはなく

もはやすべて既定路線だと思いますのでそれはさておき

最近の医師会中川委員の意見にちょっと賛同することがあります。

それは病院薬剤師の評価を付けるという主張です。

彼は今回もこの様に主張しています。


医療機関の薬剤師を報酬上評価して医療機関の薬剤師の雇用を促進することは、日本の医療全体として見たときに大変重要なことだと思います。
ですから、繰り返しますが、1.7兆円の差(院外処方と院内処方のコストの差)を踏まえて今後、医療機関の薬剤師の雇用に必要な財源をどう確保するかということが、ここではありませんが、保険局、中医協を中心にしっかりと議論することを強く望みます。
ぜひメディアの皆様、しっかりと報道していただきたいとお願いいたします。以上です。


メディアにまで注目させようとするのは少し驚きました。



そんな中川委員の本心は想像すると

調剤報酬を下げるために医薬分業を叩き

なおかつ病院の報酬になる病院薬剤師の評価が上がれば一石二鳥

と言ったところだと思いますが

個人的な考えだと

いくら病院薬剤師の評価をあげてもそれが院内回帰に繋がるとは到底思えません。

理由は2つあります。

まず1つめですが

「病院薬剤師の評価を上げる」と言っても2種類の評価があります。

それは「外来調剤に対する評価」と「病棟業務に対する評価」になります。

そして中川委員がイメージしているのはどちらの報酬かと言えば

おそらく両方でしょう。

ではこの両方の評価が上がったとしても院内回帰は厳しいと思います。

と言うのも外来調剤の報酬も病棟業務の報酬も両方とも上がったとして

すでに院内調剤で病棟業務を行っている医療機関にとっては朗報でしょうが

現時点で院外処方である医療機関にとっては

多少外来調剤に点数が付いても院外調剤をやめるほどのメリットには繋がりません。

よほど薬剤師が確保できて余裕があるなら別ですが

外来調剤で稼げる点数と薬剤師を雇う人件費&在庫管理を考えたら

一目瞭然ですよね。

そして病棟業務に点数を付けたところで

これまで院外処方だった医療機関が院内調剤に戻す意味が分かりません。

仮に医療機関が十分な薬剤師を確保できたとすると

微々たる報酬の外来調剤のために薬剤師を使うよりも

病棟業務をバンバンやって点数を取る病院が報酬として圧倒的にメリットが大きいです。


そして院内回帰しないもう1つの理由は

医療機関にとってはもっと効率の良い報酬の得る手段があるからです。

そうです、敷地内薬局です。

敷地内薬局を利用すれば薬剤師を雇う必要はなく

そして処方箋料も賃貸料もほぼ労力なく得る事が可能です。

最近は敷地内を飛び越え、もやは医薬分業とは名ばかりの

ほぼ一体化の医療機関と薬局も出てきていますが

外来調剤を外注可能な時代に、院内回帰を目指す必要性はありません。

もちろん現時点で院内調剤の医療機関は院内の薬剤師に評価が付くことで

より一層院外処方に転向する可能性は低くなるかもしれませんが

それはいずれ敷地内薬局との天秤にかけられることになると思いますし

第一個人的には医薬分業はもう無理に増やす必要はないと思います。

薬剤師が確保できないのにこれ以上いたずらに薬局を増やす必要はないでしょう。



という事でいくら医療機関の薬剤師の評価をあげても

・薬剤師の雇用コストと外来調剤の利益の問題

・院内調剤に回す薬剤師の確保の問題

・コスパ最強の敷地内薬局の誕生

これらによって院内回帰はまず難しいでしょう。


まあそもそも中川委員も本気で考えてはいないでしょうけどね。


では一方で中川委員が言っているように

「医療機関の薬剤師の評価をあげるべき」

という主張なんですがこれは全面的に肯定するほうがメリットは大きいと思います。


なぜなら黙っていても調剤報酬は削減されるでしょうから

それならば病院薬剤師の評価が上がる方が薬剤師全体としての雇用の面としては

メリットが大きいのではないかと考えるからです。


薬局と医療機関で医療報酬・調剤報酬を取り合うのであれば

どうせならば病院薬剤師に評価を付けた方が薬剤師全体としていいでしょう。



おそらくこの医療費削減の時代の流れにおいて

薬剤師会の力だけで病棟薬剤師の評価をあげることは

控えめに言ってもかなり厳しいと思います。



「エビデンスを構築して薬剤師の評価をあげるべき」

みたいな展開はもはや幻想であり

それが客観的に適切に評価されて報酬が付くなんてことが不可能と言うのは

この数回の制度部会の議論を見て大分はっきりしましたよね。



ですからどうせ薬局の報酬が削られるのは既定路線なのであれば

ここは医師会の意思に乗っかり

病棟薬剤師の評価をあげる方が薬剤師全体の利益を考えると賢明だと思うんです。



実際に病院薬剤師のなり手が少ない理由の一番の理由は給料の安さですからね。

まあ病院薬剤師の評価がそのままダイレクトに給料に反映されればの話しですが。。。


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薬剤師が一つになれるかも

最後の
「まあ病院薬剤師の評価がそのままダイレクトに給料に反映されればの話しですが」
というのは本当に悩ましいですね。
ですが病院薬剤師の給料を上げる為には薬剤部が病院の中で採算部門となる必要があると思います。
報酬増額分が直接給与に反映されなかったとしても薬剤部が採算性の高い部門になれば必然的に給与を上げて人員を確保する流れに行くだろうと予想されます。
病院薬剤師の給与を上げることは病院と薬局の間のわだかまりを解消することにも繋がり、きっと私達薬局薬剤師にとってもプラスのメリットとして働いてくれるだろうと考えています。
病院薬剤師の給与が適正化され、薬局薬剤師と志が同じになった時が薬剤師が一丸となって大きな敵と戦える時なのではないかと思います。
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