PPIのスイッチ化不可の本質的な問題



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厚生労働省は2018年8月1日、第5回医療用から要指導・一般用への転用に関する評価検討会議を開催した。ナプロキセン(医療用医薬品名ナイキサン)、プロピベリン塩酸塩(バップフォー他)はスイッチOTC化を「可」としたが、前回から継続審議となったプロトンポンプ阻害薬(PPI)のOTC化は、今回も議論が平行線をたどり、最終的に「否」となった。
PPIのOTC化、紛糾の末に「否」



PPIのスイッチ化が不可になりました。


安全性やPPIのスイッチ化の意義を考えれば否定的な意見があり

逆に安全性と利便性を天秤にかければスイッチ化に賛成という

両者の意見が割れるのも必然でしょう。


もちろん中には良く分からない反対意見もありましたが

医師側が全面的に否定しているわけでもなく

日本消化器病学会や国立国際医療研究センター国府台病院病院長などは

スイッチ化を容認しています。


そして今回のPPIのスイッチ化が不可とされた決定打は

市販薬を適切に販売できていない現状があるから

ということらしいです。

「濫用などの恐れのある医薬品を複数購入しようとした時の対応」について、「質問されずに購入できた」ケースは36.6%(2016年)だった。


これを見て結論PPIのスイッチ化はダメ

という理屈は一見筋が通ってそうですよね。


まずは販売する環境をしっかり整えてから議論はそれから

という主張はまあ間違ってはいないとは思います。


仮にPPIがスイッチ化するとその効果の高さから

CMでも宣伝され

適切な使い方をせずに思考停止で連用してしまう可能性も

決して低いとは言えないでしょう。


でも思うんです。

販売体制が現段階では整っていない現状があるから

「PPIは不可」とするならば

今回の検討会議でスイッチ化が認められた

ナプロキセンやプロピベリンがなぜ認められたのか理解できません。


PPIと同じ理論で言うならば

こちらの販売体制問題も考えるべきではないでしょうか。


もちろんナプロキセンやプロピベリンが濫用される可能性は低いと思いますが

PPIと同様に長期で使用してしまう可能性もあるでしょう。




それにこの検討会議で問題視された医薬品の販売現状として

濫用される恐れのある市販薬が正しく販売されていない

と言うことでしたが

濫用のリスクの高い医薬品の多くは第2類医薬品に分類され

薬剤師はおろかネットでも買えて

ドラッグストアでも買えて家電量販店でも買える

おまけにその販売形式は情報提供が「努力義務」です。

安価で依存性も高い医薬品を

濫用を防ぐリスクを完全に排除する事は残念ながら不可能です。


もちろんそれをまねいてしまった原因の1つとして

薬剤師や登録販売者の販売時において

それが十分に機能していない事も大きな問題です。

薬を取り扱う側が適切な販売を行っていない事は

反省すべきことです。



今回の検討会議で引き合いに出された覆面調査の

「医薬品販売制度実態把握調査結果」は

近年は毎年公表されている調査結果になりますが

正直公表だけ行ってそれが活用されていたとは思えません。


ただ、個人的な意見を言わせてもらえば

おそらくこの状況はこのままでは大して変わらないと思います。


かと言って今後スイッチ化の議論があるたびに

この事を引き合いに出されたらスイッチ化は一生進みません


今回、薬の販売が

「濫用のおそれがある薬が36.6%で質問されずに購入できた」

ということですが

たとえこれが改善されて10~20%くらいになったとしても

「まだ正しく販売されているとは言えない」

といつまで経っても話は前に進まないと思います。





そもそもスイッチ化は薬剤師の職能拡大でもなく

医師の権利を奪うことでもなく

最重要課題の医療費削減のためです。


言ってしまえば

PPIがスイッチ化されるべきか否かの次元の話しですらないと思います。



そして今回の最大の問題は

今後のスイッチ化が不可になる理由が

薬剤師・登録販売者の落ち度にあるとされることです。


スイッチ化の議論が賛否別れると

次も間違いなくこの事が議題に挙がることでしょう。




ですから薬を販売する側に落ち度がある事をしっかり認めて

もし適切な販売が行われていない事が常態化してあるならば

一定期間の販売停止のペナルティを与えたり

2類以下でも現在濫用が問題視されている市販薬は

自主的に文書の提供を義務付けたりするなどの対策を取ればいいと思います。

ネット販売を不可とするのも要指導医薬品に限定する必要はないでしょう。

もしくは状況に応じて再分類を行うのもアリだと思います。





少し前のノルレボのスイッチ化の時も

結局薬剤師による適切な販売が担保できない云々が引き合いに出されて

スイッチ化は見送りになりました。

しかし

「じゃあどうすればいいのか?」

という議論はそこで止まっている気がします。



ですから今回の検討会議を機に

もう一度市販薬の販売を見つめ直すべきではないでしょうか。



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激しく同意

PPIのOTC化が必要かどうかは分かりませんが、理論的におかしいですよね。

調剤薬局をやっていると、処方権ないのに「かかりつけ薬局」として相談だけ聞いてあげて下さいというのも変じゃないかといつも思います。

せめて第一類医薬品を大幅に増やして、症状が軽い場合には調剤薬局で何とか対処できる状態にしてもらえないかなーと思います。

時間があったら是非いろいろなことを議論させてもらいたいと思いました。

結局利権

こういう論議って建前では色々綺麗事を述べてますが、結局既得権益を手放したくない医師会の思惑があるのではないでしょうか?
PPIがOTC化されると患者の診察の機会が減って開業医の収入が減るので、反対しているだけのような...
エパデールの例もありますし。
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