ハーボニー偽造品事件の根本的な問題



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奈良県と奈良市は2017年3月7日、C型肝炎治療薬ハーボニー配合錠(一般名レジパスビルアセトン付加物・ソホスブビル)の偽造品が発見された、薬局チェーンの関西メディコ(奈良県平群町)に対し、行政処分として改善措置と報告を命じた。
ハーボニー偽造品で関西メディコに行政処分


改善措置命令以外の行政処分はまだ発表されていませんが

今回発令された改善措置もお役所的と言えばそれまでで

ざっくり言うと

「事故報告の体制を整えましょう」
「薬局の開設者は管理者にしっかり管理させましょう」
「管理者は開設者に対して適切な意見をしましょう」

という改善措置。

ただ今回の改善措置命令を見て思った事は

このハーボニー偽薬問題の根本的な問題は

「企業方針」と「管理者」の在り方

ではないかと思うんです。




そもそも

今回の事件の改善措置命令は3店舗のみに発令だったという点。

また「開設者」と「管理者」の立場を明確に記している事から

管理者と開設者の立場は分けて考えられるものです。

そうです、当たり前のことです。

おそらく薬学生でも知っている常識だと思いますが

ただはっきり言って実態としては

圧倒的に管理者の権限と責任はミスマッチだと思います。


そもそも今回の事件において各薬局の管理者及び仕入担当が

「少しでも安い卸を使って会社に貢献しよう」
「ハーボニーは正規ルートでなくても大丈夫」

と判断して行ったものかと言えば

おそらくそんな事はまずありえないでしょう。

仮に管理薬剤師の勝手な判断で行ったのであれば

ガバナンスがヤバい会社としてそれはそれで大問題です。

ただ実際に関西メディコ内で3つの店舗から偽ハーボニーが発見されている事から

それは管理薬剤師の意思よりも

企業としての方針でその形に収まったのではないでしょうか。

しかし改善措置命令は3店舗のみです。

※追記
どうやらサン薬局平群店で医薬品をまとめて仕入れた後、各薬局に配送しているみたいですね。


もちろん当の薬局も問題はあります。

そもそも添付文書も外箱もない状態の薬で

それを偽物と判断できなかった、と言うよりも

おそらく「疑念すら持たなかった」点に関して

関与した薬剤師を擁護するつもりはありませんし

石原元都知事ではありませんが

薬局のトップである以上責任を負うのは必然です。




しかし企業の方針に疑問を持っている管理者と言えども

企業のお金が絡んでくる経営的な方針に意見をするのは

数店舗の風通しのいい薬局ならばともかく

中規模以上の薬局ならば

果たしてそれがまかり通るかと言えばかなり厳しいのではないでしょうか。



「管理者を守る必要はない。そんな職場はやめろ」

という意見も正論だと思います。

ただ個人的にはやはり個々の店舗ではなく

企業全体としての業務体制を見直させるべきだと思いますし
(役所は大変かもしれませんが)

特に経営的に企業としての方針が明らかか否かということに関しては

明確にしておくべきだと思います。

そうしない限りは

利益重視で起こり得る問題と現場のリスク

このバランスを保つことはほぼ不可能です。


しかも現場のリスクの向こう側には患者さんのリスクがあるわけで

本来ならば企業として天秤にかけてはいけないもの。

しかしそのバランスが崩壊している中では

きっと別な形で再度大きな問題が起きると思うんです。



また「うちは現金問屋を使っていないから大丈夫」と安心していても

いつ自分が加害者側になるか分かりません。

例えば常態化している無資格調剤や

ノルマ的なかかりつけ薬剤師の算定なども

店舗としての責任になるとしたら

それらは

「本来管理者がしっかり管理すべきもの」

である一方で

「管理者には事実上権限がないもの」でしょう。

しかしそれでもやはり現場の管理者の責任がゼロと言うのは通らないと思うんですよね。




関西メディコの吉田寿々代専務取締役は今回の事件に関してこうコメントしています。


「仕入担当者は、価格の安さで誘惑にかられたようだが、定期的に購入しているわけではない。しかし、慎重さを欠いた。仕入担当者も反省している。今後は(ギリアド社の)正規取引先のスズケンさんから購入する」
厚労省 ハーボニー偽造品が新たに9ボトル 正規取引先外の都内卸売業者の在庫に



誘惑にかられたのは本当に仕入担当でしょうか。


どうもここにも「経営者」と「仕入担当」という都合のいい線引きがなされている気がします。

もし仮に本当に仕入担当の独断だとしても

やはり背景には会社への貢献度を銭金で反映しているのではと邪推してしまいます。

そうなってくるともはや現場の人間も問題ですが

その評価体制自体も相当に問題があるのではないでしょうか。



まあ現時点ではあくまでも「改善措置命令」のみ。

まだ改善措置以外の行政処分が出ていない段階なので

行政処分次第ではまるっきり違う意見になっている可能性もありますが

やはり今後集約化は避けられない薬局業界においてスルーできない問題だと思います。

ただそれにはやはり現場の薬剤師の声が必要不可欠だと思うんですよねえ。


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