今後はさらに病院薬剤師の格差が開くと思う理由


最近では院内処方と院外処方のコストの差を示すニュースが多いですが

それに便乗してやたらと

病院薬剤師の評価をあげるべき

と言う主張が強くなってきた印象で

この医師会の主張を聞くたびにうんざりしてしまう薬剤師も多いかと思います。

ただ本当に必要な患者さんに対して院内調剤を行い

それを評価するというシンプルな事に抵抗を示す人は

そこまで多くないとも思います。

これを「一律に院内処方の評価を上げろ、薬局は儲け過ぎだ」

と煽ってしまうために正しい議論が行えないのではないでしょうか。



例えば昨今では経口抗がん剤による外来での治療も進んできましたが

やはり薬薬連携が十分に進んでいるとは言い難い現状において

あらゆる情報が手に入る院内の薬剤師による初回服薬指導の際には

それなりの評価を与えるべきだと思いますし

必要な処方にだけ院内処方として服薬指導を行い

調剤薬局と連携が取れるように情報提供を行うことができれば

そこの評価に文句を言う人はきっと少ないでしょう。


しかしこの手の話しの時には必ず

「「院内回帰へ」「院外と院内のコストが云々」

という話しが調剤報酬削減と絡めて議論されるために

無駄に反論を買ってしまっている気がするんですよね。





ところで医師会の主張するところに

院外処方はコストが高いので院内処方の報酬を上げるべき

という謎理論を展開しているわけですが

そもそも院内処方に限らず薬剤師業務に評価を与えることで

医療機関が薬剤師を雇いやすくなるという主張は

薬剤師としては喜ばしい事だとは思いますが

結果としてこれまで以上に格差を生んでしまうことになると思います。

ここで言う格差とは

医療機関における薬剤部による採算性の問題のことで

もっと言えば在籍する薬剤師数の問題になります。

つまり薬剤師が多数在籍して薬剤部として採算が取れる医療機関と

薬剤師不足のために様々な報酬を得る事ができない採算性の取れない医療機関の

2極化がさらに進むのではないでしょうか。


例えば病院などの医療機関において

薬剤師は病棟業務で点数の加算が可能な最低条件として

最低でも2人以上の常勤薬剤師が必要です。

そうなると薬剤師不足の医療機関は決して少なくありませんから

病院薬剤師として加算を算定するに十分な人材が足りないため

せっかくの病院薬剤師に定められている評価が

十分に活用されていない現状にある医療機関も少なくないでしょう。

また上記で言ったように

薬剤師が外来の化学療法が必要な患者さんに服薬指導等を行う

いわゆる「外来化学療法加算」もすでに制定されていますが

こちらはさらに算定要件が厳しく

そもそもマンパワーが足りずに過去に算定の歴史がない医療機関にとって

1からスタートするには相当の労力を要してしまいます。

つまり今から追加の加算や評価を行っても

その恩恵を受けれる医療機関と

一切受ける事ができない医療機関の格差は広がるばかりになるでしょう。


でも思うんです。

薬剤師が豊潤にいて採算性がとれ

それが結果患者さんのためになる事は

疑いようのない最高の形だと思います。

しかし薬剤師不足で嘆いている医療機関はそのままでいいのかと言えば

こちらにも目を瞑る事はできない問題でしょう。

ただ既存の薬剤師不足問題で嘆いている医療機関に薬剤師を配置させる手段としては

・採算性がなくても薬剤師を配置する
・薬剤師が採算を取れるようにする
・薬局の給料と病院の給料が逆転する

この3つが浮かびますが

1つ目の場合は医療機関の経営者の考え次第なので

こちらを大幅に転換させる事は難しいでしょう。

では薬剤師による採算性を上げる方に関しては

これまで不採算である薬剤師を変えるのは相当な努力と人材確保の課題があり

実質かなりのハードルになるでしょう。

薬局と病院の薬剤師の給料が逆転する事は可能性としてゼロではないと思いますが

それなりに時間を要することになると思います。


つまりこれから薬剤師不足の医療機関を変えるのは現実的に相当厳しいと考えます。


となるとやはり結論としては

医療機関の薬剤師格差が拡大していってしまうでしょう。

またここ20年で医療機関で働く薬剤師数がほぼ横ばいなのを見ても

病院薬剤師の評価がそのまま薬剤師に還元されていない可能性も高く

少なくとも直接雇用には結びついていない事の現われでもあり

院内処方の報酬を上げたところできっと何の意味もありません。


ですから個人的には

医療機関における最低限の薬剤師の配置に関して

ペナルティもしくは評価する方針を取るべきだと思うんですけどね。

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調剤補助導入で技術料削減以上に恐ろしいこと




非薬剤師でも可能な調剤業務を明示されました。
⇒調剤業務のあり方について


これにより

「薬剤師は淘汰される」
「薬剤師は厳しい時代になる」

と言う悲観的な意見もありますが

これは見方を変えればそこまで悲観することでもないと思います。


例えば正式に非薬剤師に認められた一部調剤業務ですが

それと同時にそれ以外の調剤業務を行うことは

明確に法律違反として扱われることが周知されたことがあります。

依然として人手不足を建前に人件費削減目的で

無資格調剤を常習的に行っている薬局もある中で

「ピッキングはOKだけど一包化はダメ。散剤も軟膏も水剤もNG」

と今回の通知により無資格調剤は完全に違法である認識を広めることは

それなりに意味があると思います。

まあ変わらない所は今後も違法行為を続けるでしょうが

そこで働く薬剤師も自分が違法な立場であることを自覚する必要があるでしょう。



また今後「薬剤師は棚から薬を取ってくるだけだから不要」といった

生産性ゼロの批判が一掃されることになります。

長い間「薬剤師なんて不要、薬局なんていらない」と言う批難の根源は

薬剤師は棚から薬を取ってくるだけ

という枕詞に消耗していた部分もあると思いますが

これからは棚から薬を取ってくるのは薬剤師ではない事を考えれば

それらの批難は的外れであり

その様な批難をする時点で自らの知識のなさを露呈するだけだからです。



しかしながら一方で悲観的な事実が確定している面があるのも否めません。

例えば非薬剤師に可能な調剤業務が確約されることで

技術料が下がるのはほぼ間違いないでしょう。

それによって薬剤師の給料に影響を及ぼすことも想定されます。

売上の帳尻を人件費でまかなうのは決して異常なことではありません。




ただ個人的に最も深刻だと思う事は薬剤師が関与する医療事故です。

これまでも薬剤師にも責任の所在を求められた

医療事故・裁判の判決も行われてきました。

有名どころで言えば虎の門病院の医療事故ではないでしょうか。

虎の門病院(東京・港)で2005年、がん治療で入院中に肺炎薬の過剰投与を受けて死亡した私立大教授の男性(当時66)の遺族が、病院側に約1億円の損害賠償を求めた訴訟の判決が10日、東京地裁であった。浜秀樹裁判長は担当医だった研修医だけでなく薬剤師の責任も認め、計約2300万円の支払いを命じた。病院を運営する国家公務員共済組合連合会の責任も認めた。
医師の投薬ミスを巡る訴訟で、薬剤師の責任が認められるのは異例。

⇒虎の門病院過剰投与死亡事故、薬剤師の責任認める


これは薬の過剰投与に

薬剤師が関与していながらも防げなかった不幸な医療事故ですが

この裁判で調剤や監査に関与した薬剤師3人に過失認定が決まりました。


この事故を見てもわかる通り

薬剤師の関与が2人だと2倍、3人だと3倍の調剤ミスが防げるかと言えば

そんな単純な話しではないでしょう。

ただこれまでは調剤・監査の段階で

少なくとも薬剤師が2名以上関与していた職場が大半であることを考えれば

例え処方箋監査の段階では気付けなくても

調剤する薬剤師によって未然に防げたミスはかなりの数にのぼると思います。



しかし今回の通知により

下手すると薬剤師が関与するのは1名になります。

仮にその薬局に薬剤師が複数名いたとしてもです。


となるとたった1人の薬剤師がゲートキーパーになり

処方上のミスをスルーしてしまう可能性も格段に高まるのは必然。


当然ながら非薬剤師に調剤行為を行わせることは

「調剤に最終的な責任を有する薬剤師の指示に基づき」

とされていますので

全責任は薬剤師1名にのしかかる事になるでしょう。

調剤補助は自立した判断で調剤を行うわけではありません。


ですから

上田薬剤師会会長は

「調剤補助員は職能団体がルール化を」と言っていますが
⇒「調剤補助員は職能団体がルール化を」


このルールの最終的なチューニングは個々の薬局が行うべきでしょう。

そしてそのルールを設定するのは現場の薬剤師が行うべきです。


もちろん非薬剤師の調剤業務に信頼がおけないと言う話しではなく

個人的には非薬剤師の調剤業務には賛成ですが

それ以上に一連の調剤スキームを調剤補助と同時に見直さないと

効率化・コストだけが重視されて

誰一人として得をしない医療事故が増えると思います。



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薬剤師を目指すなら浪人してでも大学を選ぶべき


厚生労働省は2019年3月25日、第104回薬剤師国家試験の合格発表を行った。合格率は70.91%(新卒は85.5%)で、受験者数1万4376人に対し、合格者は1万194人と、1万人を超えた。
第104回薬剤師国家試験の合格率は70.91%



薬剤師国家試験の合格発表が行われました。

全体の合格率は70.91%で新卒の場合は85.5%になり

合格者が1万人をこえたそうです。

ちなみに「新卒」とは

入学者全員がストレートに卒業して受験した場合を意味するものではありません。

そして個人的にはこの数字に特段何の感情も抱きませんが

それでも気になるのはやはり出願者数です。

今年も出願者数を見てみるとかなり異常なことが起きています。

それは大学入学時の入学者数よりも国家試験出願者数が多い大学がそこそこあるという事です。

つまり「定員200名」の大学なのに

国家試験の出願者数が「250名」とカウントされているような具合です。

具体的にある大学では今年の出願者数は400人を超えますが

大学の定員は200名に満たない定員です。

ちなみにその大学は昨年も出願者数は400人を超えますが

もちろん入学時の定員は約200名です。


つまりこの状況は

毎年かなりの学生が次の学年に進むことができない

もしくは卒業延期のため受験資格が得られない状況に陥っている状況であり

簡単に言えば今の薬学部としては

6年間で薬剤師になれるどころか6年間で卒業するのも困難と言うことです。

俗にいう標準修業年限内卒業者数(入学から卒業までストレートの人数)は

かなり笑えない状態になっています。

こちらも参考にどうぞ。
国家試験合格率は謎が多い


これは以前から合格率を操作するために

そもそも受験できる学生自体がかなり絞られる

といった状況が起きていました。

しかし国家試験出願者数までは操作不能であるため

今では国家試験出願者数が入学者数の2倍になると言う

異常な状態を引き起こしてしまっています。

もちろん中には大学の入学者数自体が多く

それに伴って国家試験出願者数が多くなってしまう大学もあります。

またそれでも合格率が高ければさほど問題はないと思いますが

やはり

・大学の偏差値と合格率が相関関係にある
・国家試験出願者数が入学時定員の約2倍
・定員ギリギリの入学者数


このいずれかの条件を満たしている大学は要注意です。




個人的に薬学部教育に物申すつもりはありませんが

これから薬学部を目指す学生に言えることは

例え浪人しても偏差値の高い大学を目指すべきという事です。

しかしこんなことを言うと

「薬剤師になればどこも同じ」
「薬剤師になって出身大学なんて意味がない」

と言う意見もよく耳にしますが

薬剤師になるまでの道のりを考えると

やはり大学は重視すべきだと思います。



薬剤師に限らないことですが

確かに社会に出たらどの大学を出たなんてほぼ意味をなしません。

そしてそれは間違いではないと思います。

薬剤師になるためには飛び級はできませんから

大切なことは横並びにスタートした薬剤師になってからでしょう。

しかし問題なのは薬剤師になるまでが

この乱立された薬学部においてかなり困難になってしまうためです。

例えば1年以上留年することは珍しいことではない大学も多々ありますが

仮に1年間浪人したとしても予備校代を考えると

大学の学費約200万円と浪人に必要な金額を比べてみても

むしろコスパはいいです。


「いやいや、自分は周りに流されることなく絶対にストレートで薬剤師になるんだ」
「偏差値が高い大学に入っても留年しないとは限らない」

と思うかもしれませんし個人のやる気次第では大学のレベルなど関係ありません。

それに偏差値が高い・低いで良い悪いを論じるつもりは毛頭ありませんし

たまたま地元に薬学部ができた人もいるでしょう。

ただやはり最終的に薬剤師国家試験に合格する目標がある以上

環境は非常に大切になってきます。



例えばすごく勉強しても「それが当たり前」と言う人が周りに沢山いる環境と

たいして勉強していないのに「自分はこんなにも努力したんだ」と周囲を見回して

満足しているのでは考え方の基準が変わってきます。

そして環境は個人の意識も大きく変えてしまいます。

勉強する環境が当たり前の人はさらに勉強する姿勢が高まりますし

逆に勉強する環境が当たり前でない人は勉強から遠ざかってしまいます。


また一般的な学部ならば4年間で大学卒業という資格が与えられますが

薬学部では大学に4年通って中退するとただの高卒です。

これが「薬学部に入学して1年で辞める」ならばまだマシですが

4~5年まで進学してしまった場合にはもはや後には引けません。

大学側も成績が一定の基準に達していない学生は容赦なく留年させます。

それに今の薬学部の学生は奨学金を借りている人も多いため

下手に何年も卒業できないとなると奨学金の額でも未来に絶望する人も出てきます。

また大学卒業後の視野も狭まってしまうでしょう。

なぜなら卒業できない可能性も存分にあるからです。

そうなるとやはりどれ程日頃の環境が大切か言うまでもありません。



実際に偏差値が高い大学は合格率も高めですし

国家試験受験者数も入学者数と大きく違いはありません。

定員割れなどは起こしていません。



繰り返しになりますが

良い大学を卒業した人が薬剤師として立派かと言えば分からないとしか言えません。

それにレベルの低い大学の教育が悪いだとか

レベルの高い大学の教育が素晴らしいなどとは言うつもりはありませんが

これから薬学部を目指す学生に必要なものは

薬剤師になる道のりをイージーにするためにも

たとえ浪人したとしても

努力なしで入れる薬学部に入学するよりも少しでも上を目指すべきだと思います。



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