かかりつけ薬剤師の勤務要件の緩和は不要



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 厚生労働省は2018年3月5日、4月の調剤報酬改定に向けて、かかりつけ薬剤師指導料(かかりつけ薬剤師包括管理料)の施設基準の変更点とともに、患者から得る同意書の様式例を公開した。
かかりつけ薬剤師の「在籍1年以上」は10月から




今回の診療報酬改定では

当然の存在として継続するかかりつけ薬剤師ですが

個人的に意外だったのがその点数です。

思えば2016年度診療報酬改定の時には

かかりつけ薬剤師が70点もある事に対して

「さすがに70点は高すぎるし、今後は減らされるに違いない」

と思っていましたが

2018年度のかかりつけ薬剤師がまさかの

プラス改定で73点

というのには正直驚きました。

ただこのプラス改定には

「客観的にかかりつけ薬剤師を評価して73点が適切」

と言ったものではなく

「とりあえずかかりつけ薬剤師はプラスになりました」

と言いたいがためのプラス3点である気がします。

これはかかりつけを推進したい一方で

想定外に加算する薬局とそうでない薬局に差があり

それを是正したいための意味もあるのでしょうか。




いずれにしても今後もその重要性が問われるかかりつけ薬剤師ですが

今回注目したいのはその要件の緩和です。

在籍期間こそ6か月から1年に延びてしまい要件は厳しくなりましたが

育児・介護休業法の規定で短時間勤務の場合、週24時間以上かつ週4日以上であれば例外的に要件を満たす


という緩和も今回の改定により設けられました。

(「緩和」というよりも「例外」の方が正しいかもしれませんが、パート薬剤師で育児・介護休業法に該当する方も多いと思いますのでここでは緩和と考えさせてもらいます)

この緩和によって薬局経営者からすると非常に助かる話しであり

かかりつけ薬剤師として働きたい薬剤師にとっては朗報と言えるでしょう。


しかしこの時間に関する緩和は

個人的にはない方が良かったのではないかと思います。




そもそも前回のかかりつけの要件である週32時間と言う勤務時間は

全国のパート薬剤師にとって決して容易なものではありませんでした。

例えば全国のパートの方の勤務時間は月87.5時間(平成28年度)らしいので
(薬剤師以外も含む) 毎月勤労統計調査 平成28年分結果確報


目安として31日ある月だと週に約20時間の労働になります。

もちろん薬剤師・非薬剤師のパートの労働時間には違いがあるでしょうが

まあ劇的な違いはないでしょう。

するとこの時間を参考にすると32時間には全く届きません。


つまり週32時間という数字は諦めがつく数字だったはずです。


「かかりつけ薬剤師は自分には関係ない」

と端から考えた人も多かったと思います。


しかし今回の改定で

育児・介護休業法の規定で短時間勤務の場合、週24時間以上かつ週4日以上であれば例外的に要件を満たす

という要件が追加されてしまいました。


つまり育児・介護をしながら1日6時間で週4日の勤務

これならば手が届きそうなパート薬剤師も相当数該当しそうです。




でもご存知の通り

かかりつけ薬剤師は勤務時間内だけで済む話しではありませんよね。


例えば24時間電話でも患者さんの対応を行わないといけませんし

また地域活動や認定なども取得する必要があります。

正直、地域活動よりも目の前の育児や介護が大切な人がほとんどでしょう。

育児や介護と仕事にプラスして24時間の電話番は精神的にも重荷になります。



もちろん

「かかりつけ薬剤師をやるorやらないなら辞めて欲しい」
もしくは「給料を減らす」

なんていう選択が4月以降行われる可能性は相当低いと思います。



ただ今後もベースとなる薬局の点数は減算され

かかりつけ薬剤師は薬局の経営にとって必須扱いされているであろう

そう遠くない将来の事を考えると

子育てや介護を行う人の働き方に大きな影響が出てくるのは必然です。




選挙中の立候補者の街頭演説のように

「誰もが働きやすい社会を」

なんて言うつもりはありませんし

パート薬剤師だからと言って

あらゆることを免除するのが適切とは思いません。

それにパート薬剤師の中でも

かかりつけ・非かかりつけによって給料に差が出たとしても

薬剤師によってはそれがモチベーションにも繋がるでしょう。

同一労働同一賃金の面からも歓迎すべき事かもしれません。




ただ人手不足解消・一億総活躍社会などと叫ぶ一方で

薬剤師の働き方は徐々に労働時間を伸ばす方向に進んでいる

そしてそれが当たり前になりつつあり

薬剤師をはじめ医療従事者は労働時間短縮と真逆に突っ走るのは

おかしいのではないでしょうか厚労省さん。




と、そんな事を考えていると

果たして今回のかかりつけ薬剤師の要件の緩和が良かったのかと言えば

個人的には歓迎すべきことではないと思うんです。


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かかりつけ薬剤師は1人より複数いる方がいいと思う理由



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個人的には今のかかりつけ薬剤師の制度には反対です。

その理由については昨年の制度開始以前から複数回ここでも書いてきましたし

前回書いたように

薬の一元管理を推進するためという事に関しても

あまりメリットを感じず

むしろ制度を利用した利益重視に終始し

現場の薬剤師を疲弊させるだけの側面もあるからです。

薬局をアクセスや利便性で選ぶのは当たり前



ただこのかかりつけ薬剤師の制度に非を唱える人は多くても

その表向きの概念に反対する人は意外と少ないと思うんですよね。

例えば

「信頼のおける経験豊富な薬剤師がきめ細かい対応を行う」や

「体調の変化を継続的に見て指導を行う」

などのことに関してはおそらく否定的な意見よりも

むしろ肯定的な人が多いのではないでしょうか。

そして個人的には

患者さんはかかりつけ薬剤師を何人も持って然るべきだと考えます。



と言うよりもむしろかかりつけの薬剤師を1人に絞る必要性って

患者さん本人が望むのであれば別ですが

現状特にメリットはないと思うんですよね。





今のかかりつけ薬剤師制度に則るのであれば

全ての診療科の薬を把握して

さらにその疾患の背景に至るまで知識があり

おまけに信頼が得られるまでが前提にあると思うんですが

それを

「はい、やれています」

という薬剤師は一体どれだけいるのでしょうか。


それならばそれぞれの診療科に応じて

幸いにも目の前にその診療科の薬を専門に扱っている薬局があるわけなので

一概には言えませんが

薬を含めた諸々の指導はやはりその門前薬局薬剤師の方が

相対的に優れている可能性は高く

その中でかかりつけ薬剤師を選んで行けばいいと考えます。


「各々の薬局で専門性を持った信頼できるかかりつけ薬剤師を持つ」

これではダメなのでしょうか。




ただそうなると前回も書きましたが

かかりつけ薬剤師制度導入の最大の意図である

「薬の重複投与を防ぐにはどうすればいいのか?」

であったり

「かかりつけ制度のコスト増」

という問題が発生します。


ただこれも情報の共有化で解決できると思いますし

取りあえずはかかりつけ薬剤師の算定要件に

「お薬手帳必須」

というのを設けるなどで対応できると思うんです。

正直お薬手帳の有無で点数が変化するのは好ましくないと考えますが

算定要件にお薬手帳がなければ

かかりつけ薬剤師指導料を算定できない仕組みにします。

もちろんお薬手帳を忘れたらかかりつけ薬剤師指導料を算定できません。

毎回新品の手帳を渡すのは当然不可。


すると過去の診療報酬改定よろしく

「お薬手帳がない方がお得」

などの薬局側にとっては都合の悪い報道があるかもしれませんが

そもそもかかりつけ薬剤師に同意をしている方々は

「お金を多少出してもかかりつけの薬剤師になって欲しい」

という人達なので

わざとお薬手帳を忘れて値段を安くしようとはあまり思わないと思うんですよね。

それならば初めからお金の多くかかるかかりつけに同意しないと思います。




そしてかかりつけ薬剤師が複数いることのメリットは

セカンドオピニオン的な存在がいることにもなり得ます。

現状のかかりつけ薬剤師制度では1人の薬剤師が全て管理してくれるのは

メリットがある一方で

薬剤師1人の意見が「すべて」になってしまう欠点があります。

実質かかりつけになれるまで3年の実務経験が必要とされていますが

新卒後3年ならば転職経験もなく

1つの薬局しか経験がない薬剤師も決して少なくないでしょう。

もちろん経験年数が必ずしも個々の薬剤師の能力に影響するとは思えませんが

現状、算定要件を満たせばイケイケどんどんで算定し始める所もあるわけで

そこに患者さんに対する薬の全てを一任するのは

もはやデメリットでしかありません。


しかし複数かかりつけ薬剤師がいれば

診療科の垣根を越えて

「あの薬局ではこう言われたのだけれど本当なの?」

と色んな意見を聞ける事にも繋がります。




またかかりつけを複数持つと

かかりつけ薬剤師のコスト問題が挙げられますが

これは今のフリーな算定可能な条件に制限を設けて

例えば65歳以上は算定不可だったり

2か所以上の病院を受診していない時は算定不可としたり

かかりつけ薬剤師の点数を下げたりして

制度をガッチリ整える事でコスト削減は可能だと思います。


そしてそもそも患者さんが

かかりつけ薬剤師が1人でいいならば1人でもいいですしね。








ということで実現しない事を妄想していましたが

とにもかくにも

かかりつけ薬剤師の意味も理解させずに同意をとる現状がある以上

本当に意味のあるかかりつけを行う薬剤師の邪魔をしないためにも

下手に患者さんの囲い込みツールになるのはどうなのかあと思います。


まあ一番の問題はその囲い込みになり切れていない点なんですけどね。

それならば諸々考えて

複数のかかりつけ薬剤師を持った方がいいのではないかと考えます。




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「かかりつけ薬剤師の効果に疑問」より疑問なこと



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フリーライターの早川幸子さんが書いた記事

かかりつけ薬剤師の効果に疑問、薬剤費削減額の2.7倍のコスト発生

が話題になりました。

ざっくり説明すると

かかりつけ薬剤師によって削減された薬剤費は7260万円。

一方のかかりつけ薬剤師にかかるコストは2710万円。

つまりトータルで考えると4550万円のマイナスとなり

医療費削減とは言えないのではないか。

そしてそもそも残薬調整はかかりつけ薬剤師のみに課せられている業務ではなく

通常の薬剤師でも行われていることである

という主張です。


あくまでかかりつけ薬剤師においての

「残薬調整」

のみに焦点を絞った話しをしているため

一概にメリット・デメリットを語るのは難しいと思いますが

かかりつけ薬剤師を設けた意図の一丁目一番地は

まさに残薬調整・薬剤費削減になると思うので

個人的にはお金を主軸に議論をするのはアリだと考えます。



そして日本調剤は差し引きマイナスになっているとはいえ

早急にかかりつけ薬剤師の成果を金額で弾き出す点は

制度自体の見せ方が上手いと感じました。




ただ全面的に日本調剤の取り組みを支持できないのは

同業者として見る、まさにその「見せ方」にもあります。






日本調剤側はこの度

平均残薬調整額に見る「かかりつけ薬剤師」の有意差

というデータを示しています。

「かかりつけ薬剤師」効果で 薬剤費年間1億円削減へ 日本調剤「かかりつけ薬剤師」を効果検証!


これはその名の通り平均の残薬調整額を示すもので

かかりつけ薬剤師:19206円
一般薬剤師:8500円


という結果になり

かかりつけ薬剤師がより密接に患者さまの服薬管理に関わり、一元的で継続的な服薬指導を行うことで有意差が出ている

と結論付けています。



そしてさらに日本調剤は

薬局タイプ別にみる残薬調整額

というデータも示し

・門前
・医療モール
・診療所、クリニック前
・面対応

の4つの薬局タイプでどの薬局が最も残薬調整に関与できているかと言うもので

門前(166,145円)
医療モール型(80,853円)
診療所・クリニック前(51,364円)
面対応(44,188円)

と断トツに門前薬局が多く

日本調剤としては

「かかりつけ薬剤師」制度スタートにあたり、病院門前タイプの薬局に対する「かかりつけ機能」について懐疑的な内容の議論がありました(中略)。日本調剤では全店舗の7割が大病院前の門前薬局を運営しており、高単価処方が多い門前薬局ほど「かかりつけ薬剤師」による服薬指導は効果が高いと思われます。

と結論付けています。



これらを見て個人的な感想を言いますと

まず1つめのデータの

かかりつけ薬剤師or通常薬剤師による残薬調整の結果ですが

今回の記事を書いた早川幸子氏の主張の1つである

「かかりつけ薬剤師」による残薬の減額が大きいとアピールするのは、反対に高い報酬がつかなければ、積極的に残薬調整をしない薬剤師の怠慢と映りかねない。また、「かかりつけ薬剤師」を指名しないと、残薬調整してもらえないという誤解を患者に与えることにもなる。

この主張は大分エッジが効いていますが

概ね同意します。



もちろん日本を代表する調剤薬局チェーンの日本調剤さまなので

かかりつけ薬剤師の同意が得られないとしても

残薬調整のための啓発は行っていると思うのですが

それでもかかりつけと非かかりつけで2倍以上の残薬調整額の差が生じるのは

単に「患者さんに密に接することができた結果」なのか甚だ疑問です。




そして2つめのデータですが

門前薬局に減額調整額が多く

面対応はその4分の1の残薬調整額



という結果が出ていますが

そもそもかかりつけ薬剤師とは

「患者さんが複数の医療機関を受診したため生じる重複投与を防ぐ」

といった面での活用がメインだと認識していたのですが

門前が面対応の4倍の調整額というのはどうなんでしょう。

結果的に門前のかかりつけ薬剤師の必要性への疑問を

助長する結果になっている気がします。


そもそも医療モールにかかりつけ薬剤師が必要かも疑問です。





制度スタート当時から賛否両論あった

かかりつけ薬剤師ですが

最近ではその制度自体の是非以上に

かかりつけ薬剤師の同意・算定が本当に正しいと言えるのか

という点が問題視されている気がします。


今年の3月に日本調剤は

「1店舗当たりのかかりつけ薬剤師指導料の平均算定件数が月200件を突破」

とも公開されました。

そしてその時も書きましたが

1店舗でかかりつけ薬剤師の算定が月200件という数字が適切か否かは

正直判断できません。

日本調剤のかかりつけ薬剤師への意識をHPから見てみる


それにかかりつけ薬剤師によって

単なる残薬調整額では図れないものもあることでしょう。



ただ、仮にかかりつけ薬剤師の算定やその説明が不十分であったり

利益至上主義で上辺だけのものであったものが発覚した場合

結局全てがぶち壊されると思うんですよね。



薬歴未記載や付け替え問題同様に

ややこしい問題に発展しないことを願います。


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