制度部会の議論と言う名の出来レース



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2018年12月14日に開催された、第10回厚生科学審議会医薬品医療機器制度部会(制度部会)。
厚生労働省は、医薬品医療機器等法(薬機法)改正に向けたとりまとめ案を示したが、その中には、医薬分業に関する取りまとめ「薬剤師が本来の役割を果たし地域の患者を支援するための医薬分業の今後のあり方について」(表1)が盛り込まれた。
第10回医薬品医療機器制度部会より



第10回医薬品医療機器制度部会

例に漏れず薬局・薬剤師が言われ放題です。

そしてもはやこの制度部会の議論は

出席する委員の個人的な感想を述べる場になっており

今回も薬局に対して各々の委員が

「しっかりやるべきことをやっている薬局とそうでない薬局が二極化している」
「一生懸命やっている薬局が少ない」

と個人の主張を国民の代弁者の様に主張しています。

するとこんな議論をしている以上は完全に数の理論

すでに「薬局はダメだと言ってもいい雰囲気」になっている状態で

いくら議論しても建設的な話になるはずがありません。

そもそも5.9万件もある薬局全てが100%納得のいく仕事をできるなんて

絶対に不可能なわけであり

それは薬局に限らずどの分野においても同じことです。


もちろんその納得のいく仕事が出来ていない薬局が多いのは

出席者の委員の体感では事実なのかもしれません。

しかしそれを証明するために誰がデータを示して

それに基づいて議論していると言うのではなく

ただの感想を述べる場になっている以上もはやどうしようもありません。


しかしこの制度部会の場は

薬機法に関係する重要な議論の場であり

各委員が個人の見解を話しに集まる場ではありません。

だからこそせめて数の理論で絶対的不利な薬剤師会としては

事前にデータを集めて理論武装するしか手段はなかったと思うのですが

残念ながらそのデータの蓄積が少なく

出席した委員に響くものがなかったと言うのが

今回の(今回も?)最大の欠点とも言えますね。




個人的にはこの制度部会に関して

「議論」ではなく「感想」になっている現状では

破綻しているとしか思えませんが

これはさすがにないんじゃないかと思いました。


「薬剤師・薬局のあり方には医療保険制度や介護保険制度における報酬上の措置、医療法における医療計画上の措置など、関連制度が密接に関係する。それらの検討に当たっては制度部会の議論を踏まえることが期待される」



それらの検討に当たっては制度部会の議論を踏まえることが期待される


これはどうなんでしょう。


薬局の機能を見直すために薬機法を変えるべきという主張は分かります。

そして法律と診療報酬は切っても切れない関係なので影響が出る

これも必然的なことです。

でも薬機法が変わる、つまり診療報酬に影響がある議論が

あの数の原理で個人の感想を言っていたものを織り込んで評価する

ということです。

これってかなり恐ろしくないですか?





官僚主導で薬機法における薬局の部分の改正。

それを裏付ける議論は

医師会の意見に薬剤師会以外ほぼ賛同。

結局個人の感想と言う名の薬局批難のオンパレード。

ゴールは診療報酬(もちろんマイナス)への布石。

そしてそれらは議論を踏まえたものとする出来レース


もはや中医協も似た様なものですが

ここまでやられたら薬局はジリ貧どころではありません。




何がジリ貧で済まないのか簡単に言えば

薬局の業務量は100%増えますが薬局の報酬は100%減るということ。

更に端的に言えば薬局薬剤師の給料が減るということです。

「制度は関係ない。薬剤師のやるべきことをやればいい」

なんて正論っぽい声もちらほら聞きますが

身近な影響を考えれば

今回の法改正はとんでもない事だと気づくはずなんですよね。



まあ何より問題なのが

法改正も診療報酬改定も決定のプロセスが

このありさまと言うのが一番の問題ですけどね。


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地域支援体制加算のハードルはやっぱり高い



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日本アルトマーク(東京都港区)は2018年8月7日、全国の保険薬局における地域支援体制加算算定状況の調査結果を公表した。18年6月1日時点で地域支援体制加算を算定した薬局は1万5012軒で、うち99.8%が調剤基本料1を算定していた。
地域支援体制加算の99.8%が「基本料1」



地域支援体制加算を算定した薬局が1万5012軒らしいのですが

この数字は国の理想とする調剤薬局の数と合致しているのではないでしょうか。

そして注目すべきは

調剤基本料1で地域支援体制加算を算定している薬局は1軒だけという点。

確かにあのハードルの高さを考えれば

たった1軒とは思いませんが

これだけの数ある薬局の中でたった1軒しか算定できないのは

「制度として破綻しているのではないのか」

と思う一方で

「基本料1以外の薬局には算定させる気がありません」といった

明確なメッセージと考えればその思惑通りと言った所でしょう。


全国で1軒だけ基本料1以外で地域支援体制加算を算定している薬局は

色んな意味で凄いと思います。





そう言えば5月の段階では

調剤基本料1以外の薬局が地域支援体制加算を算定したのは0軒だったわけで

翌月付けの6月では1軒となっていることから

伸び率はほぼなし。

以前も書きましたが

大手調剤チェーンにおいても今後積極的に狙いに行く

なんて事はやはり行わないと思います。


2018年度診療報酬改定で大手チェーンよりも深刻な薬局


むしろ地域支援体制加算は見限ったと捉えるのが

今回の結果ではないでしょうか。


ただそれもそのはずで

もし地域支援体制加算を目指すのであれば

現場の薬剤師の人件費は相当額必要だと思いますし

それに見合った利益が回収できたとしても

現場の負担は相当なもので

それに薬剤師が辞めたら全てパーになってしまい

それならばこんなコスパの悪い所は攻めずに

その他の加算を徹底的に取りに行くと考えるのが自然ですよね。



とにもかくにも大手調剤チェーンの業績は軒並み軟調です。

上場調剤薬局大手3社の2018年4~6月期連結決算が7月31日、出そろった。調剤薬局事業は18年度調剤報酬・薬価改定の影響で、3社とも営業利益が2桁の減益。特に日本調剤、総合メディカルは40%台の減益となった。
調剤大手・4~6月期


そしてこれに底打って

徐々に盛り返してくるのが大手調剤チェーンのすごい所言えばすごい所ですが

今年の改定による減益はかなりの打撃です。


ただそれでもやはり日本調剤はさすがだと思いました。

売上高59,305百万円 (前年同期比1.6%増)、営業利益501百万円(同77.1%減)、経常利益398百万円(同81.0%減)、親会社株主に 帰属する四半期純利益40百万円(同96.4%減)です。なお、期初計画に対しては売上高、親会社株主に帰属する四 半期純利益が若干下回りましたが、営業利益、経常利益については期初計画を上回る実績となっています
日本調剤第1四半期報告書


こちらは先日公表された日本調剤のIRですが

これだけマイナスでも大方予想通りの見通しが経っているのは

やはり大手の分析力は純粋にすごいですよね。


と、その様な事を調べながら

再びDIオンラインの記事を読んでいたら

とても重要な事を見落としていました。それが

全国の薬局5万9864軒のうち1万5012軒(25.1%)で、そのうち1万4984軒(99.8%)が調剤基本料1を算定していた。

という一文です。

なんと薬局の数が5万9864軒とかかれています。

ついこの間まで58000軒程度だった気がしたのですが
(もっと言えば57000軒もついこの間だった気がするんですが)

2018年の6月の時点ですでに6万軒目前にまで数が増えているんですね。

ちなみに日調の四半期の出店数は8店舗が新規出店で4店舗閉店と言う事らしく

大手の新規出店はブレーキがかかり始めている一方で

着々と個人の薬局が増え続けていると言うことなのでしょうか。



それにしても

病院やクリニック等の医療機関は年々右肩下がりで減っているのに対し

調剤薬局も集約化の流れにおいて

逆に伸び続けて6万軒にタッチしようとするのは

何とも言えない感覚になりますね。


巷では薬剤師不足が未だに言われていますが

これだけ時代に逆行すれば薬剤師が不足ではなくて

薬局を作り過ぎている感も否めません。


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2018年度もお薬手帳の持参率は変わらない



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薬剤服用歴管理指導料は、「1.原則6カ月以内に処方箋を持参した患者に対して行った場合」の点数が38点から41点に、「1の患者以外の患者に対して行った場合」が50点から53点に、「特別養護老人ホーム入所者に対して行った場合」が38点から41点に、それぞれ3点アップした。
薬歴管理料3点アップ、手帳活用ない薬局は13点


今回の診療報酬改定にて

お薬手帳の持参率が50%以下の薬局は薬剤服用歴管理指導料13点

という事が決定になりましたが

厚労省は本当に策士だと思います。


ただそれは

お薬手帳を持ってくるメリットを患者側に与えながらも

手帳の利用率の悪い薬局にもペナルティを課せれる

といった

薬局・患者どちらの目線からもお薬手帳の持参を推進させる案を

策士と言いたいのではありません。




そもそもこのご時世に

薬局の呼びかけでお薬手帳を完全に持って来てもらえる

なんて誰も思ってないですよね。

それに患者さん側も

手帳をしっかり持ち歩いている人も多いでしょうが

毎回手帳を持ってくるかどうかは「気まぐれ」だって人も沢山います。

その気まぐれを

薬局のやる気でどうにかするという発想自体がおかしな話しです。


一方でお薬手帳の持参率が悪くても大した問題ではありません。

仮にお薬手帳の持参率が悪すぎて

薬剤服用歴管理指導料の特例に該当してしまい

管理料が13点の算定になってしまう薬局はほぼ皆無でしょう。

よほど生真面目な薬局が正直に申告する以外は

新しいお薬手帳を渡して特例を回避して終わりです。

ただの資源の無駄遣いです。


つまりお薬手帳の持参率を根本から改善させるには

薬局の報酬にいくら影響を与える形になっても

実質大きく変わる事はありません。



では今回のお薬手帳にまつわる改定で

厚労省が策士だと思った点は何かと言うと

こうやって薬局にペナルティを課すことによって

お薬手帳の持参率に関して全責任が薬局にある

と印象付ける事が可能になったという点です。


先程も言いましたが

お薬手帳を持って来てもらう努力をしても

実際に持って来てもらえるかどうかは100%患者さん次第です。

その状況において

診療報酬改定を利用して

お薬手帳の利用率が悪いのは薬局・薬剤師の努力が足りないため

としてしまえばこんなに楽な事はありません。

個人的にはこの改定

「どうすればお薬手帳の持参率が上がるのか真剣に考えよう」

ではなく単に

「悪いのは薬局の努力不足である」

と結論付けが出来ればそれでいいと考えているのではと推測しています。





では、本気でお薬手帳の持参を改善するためには一体何をすべきなのか

と考えてみたのですが一番重要で手っ取り早いのが

病院や診療所などの医療機関も巻き込む

ことではないでしょうか。

(もしくは技術革新ですが今回は触れないことにします)



そもそもお薬手帳の持参率を改善するために

患者さんにお薬手帳の重要性を認知してもらうには

従来通り続けていくしかありません。

しかしそれには薬局だけではどうしようもない事実です。


そもそもお薬手帳は薬剤師だけが活用するものではありません。

もはや病院などにとってもお薬手帳は必須の時代です。

例えば紹介状がない状態での新患の患者さんの薬の把握であったり

他院での服用薬が1~2種類ならともかく

5種類以上の薬の名前と規格と用法を正確に覚えている

非医療従事者なんてほぼ皆無でしょう。

薬の副作用かもしれないと判断する時

そもそも飲んでいる薬が何か分からない限り判断できません。

また薬の重複投与が問題視されていますが

そもそもお薬手帳を事前に見ていれば

重複した処方をしなかったケースもたくさんあるはずです。


つまりお薬手帳がなくて困る事になるのは

薬剤師と患者さんだけでなく

実は医師が一番重要だったりします。


もちろん昨今ではお薬手帳の重要性を理解し

医療機関側からお薬手帳の持参の呼びかけを

積極的に行っている所も多いでしょうが

本気でお薬手帳の持参率を上げるのであれば

薬局だけでなく医療機関側を巻き込む必要があります。


患者さんも病院の先生から言われたら

今まで以上にお薬手帳を持ってくるようになるでしょう。

病院に行く時は保険証とお薬手帳

を徹底すればいいんです。



いまさら毒にも薬にもならない薬局だけの改定は意味がありません。






まあ先ほども言いましたが

そもそも今回の改定では

手帳の持参率が5割以下にペナルティという甘めの条件を見ても

単なる「お薬手帳の持参の推進も配慮してます」のポーズであり

厚労省自体も本気で取り組む気はないのかもしれませんけどね。


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